
女性にとって心身ともに変化が激しい妊娠中。妊娠前とは違う体の変化に気持ちがついていかない人もいるかもしれませんね。わたしも妊娠中は王道のつわりに始まり、数々の体調不良に悩まされた妊婦の一人ですが、なかでも特に嫌だったのが口唇ヘルペスでした。
口唇ヘルペスは妊娠中に初めて発症したわけではなく、以前から何度も再発して悩まされてきた病気なので症状には慣れていたのですが、これが妊娠中となるといろいろな不安や疑問が出てきます。自然治癒に任せて放っておいても赤ちゃんに影響はないのか、常備している飲み薬やサプリは使えるのか、市販薬の塗り薬を使っても大丈夫なのか…。
そこでこの記事では、妊娠中の口唇ヘルペスへの対処法を紹介!原因はストレスなのか寝不足なのか、早く治すなら何科に行くのがいいのかについてもお伝えします。
妊娠中に口唇ヘルペス再発!
妊娠初期のときと妊娠後期のときの2回、朝起きると唇にチクチク、ピリピリした違和感がありました。この感覚はこれまでもう何度も味わってきた感覚だったので、「あ、口唇ヘルペスが再発した…」とすぐに分かりました。
口唇ヘルペスは年に数回発症しているので、その対処には慣れたもの。唇に違和感を感じたらすぐに患部に塗り薬を塗り、飲み薬を飲みます。妊娠前は、そうやって対処することで口唇ヘルペスの症状を悪化させずに早く治すことができていました。
ですが、今回は妊娠中です。同じように患部に塗り薬を塗ったり、飲み薬を飲んだりなど、安易に対処することはできません。かと言って、このまま口唇ヘルペスを悪化させ、自然治癒するまで放置していいものかどうかも悩みます。赤ちゃんに何か影響はないのか、とにかくそればかり気になっていました。
妊娠中の口唇ヘルペス、原因はストレス?寝不足?
口唇ヘルペスの原因となるウイルスは単純ヘルペスウイルスといいますが、この単純ヘルペスウイルスはごくありふれたウイルスで、大人の場合は半数以上の人が子ども時代にすでに感染していると言われています。なので、わたしたち大人の過半数は口唇ヘルペスに感染しているということです。
ですが、単純ヘルペスウイルスは、感染していても症状がずっと出ているわけではありません。口唇ヘルペスは、ストレスや寝不足など心身の疲れが溜まって免疫力が落ちてきたときに発症すると言われていて、それ以外のときは無症状です。わたしも妊娠前は寝不足が続いたときや風邪をひいたときなどに口唇ヘルペスの症状がよく出ていました。
口唇ヘルペスの原因
口唇ヘルペスは、ストレスや寝不足、疲れや風邪など、免疫力の低下が原因で発症するということが分かっているので、再発を予防するためにもなるべくストレスや疲れを溜めない、睡眠時間をしっかり確保する、風邪をひかないように注意する…を心がけているのですが、ただでさえ体調が不安定な妊娠中。免疫力の低下はどうしても防ぐことができません。
妊娠初期のときはつわりのストレス。妊娠後期のときは体重管理のために食べたいものを食べられないストレス。そして、日に日に大きく、重くなるお腹を抱えて家事をこなすストレス…。寝返りを打つのも一苦労で、夜中に何度も目が覚め、トイレも近くなり、睡眠不足のせいで妊娠中はいつも体が疲れていました。
妊娠中によく感じる妊婦特有のストレスや睡眠不足が原因となって、妊娠前は落ち着いていた口唇ヘルペスが再発してしまったのです。
口唇ヘルペスを自然治癒に任せて放置しても胎児に影響はない?
妊娠中に口唇ヘルペスの症状が出た場合、自然治癒に任せて放置したとしても直接的に胎児に影響するということはないとされています。
唇に多少チクチク、ピリピリするようなかゆみや違和感があっても症状が悪化していかない、軽い痛みを伴うプツプツとした水ぶくれが増えていかない、というような場合は、口唇ヘルペスの症状がひどくならずにそのまま自然治癒することもあります。
ですが、口唇ヘルペスは直接的に胎児に影響はしないものの、ママの行動によっては間接的に影響を及ぼす場合があるので注意が必要です。ママが口唇ヘルペスを発症しているときにパートナーにオーラルセックスを行ってしまうと、パートナーが性器ヘルペスに感染してしまう可能性があるのです。
口唇ヘルペスと性器ヘルペスの違いは?
口唇ヘルペスと同じく、単純ヘルペスウイルスが原因で発症する病気には性器ヘルペスというものがあります。口唇ヘルペスと性器ヘルペスは原因となるウイルスの種類が違うため、同じ病気ではありません。口唇ヘルペスの原因となるウイルスは単純ヘルペス1型(HSV-1)、性器ヘルペスの原因となるウイルスは単純ヘルペス2型(HSV-2)となっています。
ですが、最近ではオーラルセックスが一般的になってきたことから、その区別が明確なものではなくなってきているようです。妊娠中に口唇ヘルペスを発症した妊婦がパートナーにオーラルセックスを行うことで、パートナーが性器ヘルペスに感染してしまう可能性があります。
口唇ヘルペスが間接的に赤ちゃんにもたらすリスクは?
万が一、口唇ヘルペスがパートナーに感染し、その感染を介して妊娠中に性器ヘルペスを発症してしまうと大変です。性器ヘルペスは、出産のときに産道を通って産まれてくる赤ちゃんに感染してしまうリスクがあります。
赤ちゃんが性器ヘルペスに感染すると、以下のような症状が出る可能性も。
口唇ヘルペスが間接的に赤ちゃんにもたらすリスク
最悪の場合、赤ちゃんが命を落とすことや、命が助かっても神経学的な合併症を起こしたり重篤な後遺症を発症したりするリスクもあるとのこと。そう考えると、口唇ヘルペスだからといって甘く見てはいけないということが分かりますよね。
口唇ヘルペスを発症してすぐに胎児に影響が出るというわけではありませんが、自然治癒に任せて放置しておくことでパートナーに感染する可能性が高まり、産まれてきた赤ちゃんに間接的に影響するリスクがあるというわけです。
また、出産間近に妊婦が性器ヘルペスを発症していることが分かった場合、経膣分娩で赤ちゃんに感染させないため、帝王切開になります。
そのような事態を回避するためにも、口唇ヘルペスはできるだけ早く治す方向で考えたほうがいいでしょう。
妊娠中の口唇ヘルペスを早く治すなら何科に行くべき?
妊娠前、初めて口唇ヘルペスがひどくなったときに受診したのが皮膚科でした。口唇ヘルペスは唇(皮膚)にできるものなので、そのときは迷いなく皮膚科に行き、処方された抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬と塗り薬で早く治すことができました。
口唇ヘルペスは一度発症してしまうと繰り返し再発しやすい病気で、ストレスや睡眠不足などで免疫力が低下する度に症状が出てしまいます。早く治すには皮膚科に行くのが一番ですが、妊娠中なら通院している産婦人科で医師に相談するのがてっとり早いでしょう。
実際、わたしも妊娠中に口唇ヘルペスの症状が出てしまったときは、皮膚科には行かずに産婦人科の医師に相談して塗り薬を処方してもらいました。「ゾビラックス軟膏5%(アシクロビル軟膏)」です。
「ゾビラックス軟膏5%(アシクロビル軟膏)」は妊娠中でも口唇ヘルペスの治療薬として使うことができる塗り薬で、薬剤師さんの話ではもし口に入っても赤ちゃんに影響することはないとのことでした。産婦人科で処方された塗り薬なので安心感がありますよね。
ちなみに、皮膚科に行く場合は妊娠中であることを伝えるのを忘れないようにしてくださいね!
妊娠中の口唇ヘルペスにリジンサプリは使える?
口唇ヘルペスを予防・改善する効果があるとして知られる必須アミノ酸「リジン」。リジンは肉などの動物性たんぱく質に多く含まれている栄養素で、感染症への抵抗力を高める効果が期待できます。
わたしも妊娠前は口唇ヘルペスを予防・改善するためにリジンサプリを飲んでいましたが、妊娠中はやはり胎児への影響を考えて飲まないようにしていました。
サプリメントの類のものはこちらの葉酸サプリしか飲んでいませんでしたが、口唇ヘルペスの予防・改善に効果的なリジンもしっかり摂取できるので良かったです。
リジンは体に必要な栄養素ですし、不足してしまうと口唇ヘルペスが再発する可能性が一気に高まるので、わたしはできるだけ普段の食事で食べ物からリジンを摂取するように心がけていました。
以下、リジンを多く含む食べ物になります。
口唇ヘルペスを予防・改善するリジンを多く含む食べ物
妊娠中の口唇ヘルペスに市販薬の飲み薬はある?
現在(2022年3月時点)、口唇ヘルペスの市販薬として飲み薬は販売されていません。市販薬として販売されているのは塗り薬だけです。
飲み薬は、口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスなど、ヘルペスウイルスの増殖を抑えてくれる効果がありますが、塗り薬の場合は皮膚に表面化してきたヘルペスウイルスにしか効果がありません。
そのため、口唇ヘルペスの症状を体の内側から早く治すには、ヘルペスウイルスが増殖する前の初期段階に抗ヘルペスウイルス薬である飲み薬を飲むのがおすすめです。飲み薬は市販薬として販売されていないため、入手するには皮膚科など病院を受診することになります。
ですが、そもそも妊娠中の口唇ヘルペスには安心して使うことができる飲み薬はないのかもしれません。わたしが妊娠中に口唇ヘルペスを再発したときは、妊婦健診で通院している産婦人科の医師に相談し、塗り薬を処方されただけでした。
抗ヘルペスウイルス薬として知られているバラシクロビル塩酸塩の飲み薬、「バルトレックス錠500」の説明書には妊娠中の使用が禁忌として規定されてはいませんが、使用注意として以下の注意事項が記載されています。
<使用注意>
下記に該当する方は使用前に医師に相談してください。
腎障害、高齢者、妊娠中、授乳中
妊娠中に口唇ヘルペスの飲み薬である「バルトレックス錠500」を使用した場合、胎児に何らかの影響が及ぶ可能性は否定できないということでしょう。わたしが妊娠中に口唇ヘルペスを再発したとき、飲み薬が処方されなかったのにはこういった理由があるからだと思います。
※医師によっては妊娠中の口唇ヘルペスの飲み薬としてバルトレックスを処方する場合もあるようです。
妊娠中の口唇ヘルペスに市販薬の塗り薬は使える?
飲み薬やサプリは素人判断でもNGだと思ったので飲むかどうか迷うまでもなかったのですが、市販薬の塗り薬は妊娠中でも大丈夫なのか気になったので調べてみました。
アクチビア軟膏
まず、こちらの市販薬「アクチビア軟膏」ですが、よく見ると別名「アシクロビル軟膏」と表記されています。産婦人科で処方された「ゾビラックス軟膏5%(アシクロビル軟膏)」と成分が同じだということです。ということは、「妊娠中でもOKなの?」と思ってしまいますが、市販薬に添付されている説明書にはこんなことが書いてありました。
次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談してください。
・妊婦又は妊娠していると思われる人
口唇ヘルペスの市販薬は自己判断で使ってはいけないということなのでしょう。妊娠中なのですから当然と言えば当然ですよね。
アラセナSクリーム
つぎにこちらの市販薬「アラセナSクリーム」ですが、添付されている説明書には「アクチビア軟膏」と同様に、「使用前に相談が必要な人」としてこのような但し書きが記載されていました。
妊婦又は妊娠していると思われる人。
薬の使用には慎重を期し、専門医に相談して指示を受ける必要があります。
「アラセナSクリーム」は、妊娠中の使用に対して安全性が確立されていないため、使用前には医師の診断が不可欠となっているようです。くれぐれも自己判断で安易に使用することがないようにしたいですね。
妊娠中の口唇ヘルペスに自己判断で市販薬はNG!医師に相談しよう
ただでさえ妊娠中は免疫力が低下することに加えて、妊娠中ならではのストレスや睡眠不足によっていつも以上に口唇ヘルペスができやすい状態になっています。
妊娠中に口唇ヘルペスができたときは、心と体が疲れているサインだと考えて、可能な限り休養をとるようにしましょう。
口唇ヘルペスを早く治すためには皮膚科や産婦人科の医師に相談するのがおすすめ。大切な赤ちゃんのためにも自己判断で市販薬を使わないようにしてくださいね!
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